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新型インフルエンザ等発生時における 行動(診療継続)計画

 

【第Ⅰ章 総論】

1-1 基本方針

>1-2 本診療継続計画の策定・変更・周知について

1-3 意志決定体制

1-4 意志決定に必要な最新情報の収集・共有化

 

 

【第Ⅱ章 未発生期の対応】

2-1新型インフルエンザ等発生時の診療体制確保の準備

2-2感染対策の充実

2-3在庫管理

 

 

【第Ⅲ章 海外発生期以降の対応】

3-1対策本部

3-2患者への対応

3-3職員への対応

3-4地域/通院患者への情報周知

3-5総務機能の維持

【第Ⅳ章 地域における連携体制】

4-1地域の連絡会議に参加

4-2病診連携等

4-3その他

 

 

 

 

第Ⅰ章 総論
1-1 基本方針
(1) 当院の役割

  • 新型インフルエンザ等流行時において、東濃地域における急性期医療を担う当院の役割を踏まえ、地域住民が安心して治療をうけられる体制を確保することを目的として、本診療継続計画を作成し、必要な対策を実施する。

(2) 各発生段階における基本的な対応方針

  • 海外発生期及び地域発生早期においても、新型インフルエンザ等の患者が当院に受診する可能性があることを踏まえて対応する。

(3) 新型インフルエンザ等発生時に優先すべき診療業務

  • 「地域医療を担う病院」の役割を鑑み、当院の診療業務を優先度に応じて3段階に分類し、一定の水準を維持し診療を継続する。なお、地域感染期における被害想定は流行段階に応じて適宜決定する。

1-2 本診療継続計画の策定・変更・周知について
(1) 策定と変更

  • 本計画の今後の変更は「新型インフルエンザ等に関する院内対策会議」(以下「対策会議」という。)により見直すこととする。
  • 海外発生期以降は、最新の科学的根拠、地域の医療継続計画に基づく地域での当院の施設機能の役割分担を元に、対策会議で適宜本計画を変更する。

(2) 東濃地域における当院の役割確認

  • 岐阜県県の新型インフルエンザ等行動計画及び東濃地域の地域医療体制に関する対策会議において、当院は急性期医療の役割を担うことが確認されたことを踏まえて、未発生期、海外発生期及び地域発生早期、地域感染期を見据えた診療継続計画を策定する。

(3) 職員への周知

  • 本計画に記載された各対応を全職員が理解し、全職員の協力の下で診療体制が構築できるよう、対策会議は研修会等の企画・実施を通じて職員に本計画を周知徹底する。

1-3 意志決定体制
(1) 意志決定者

  • 新型インフルエンザ等の発生における診療体制及びその縮小等については対策会議で検討し、議長である病院長が決定する。

1-4 意志決定に必要な最新情報の収集・共有化
(1) 情報収集部門の設置

  • 平時より新型インフルエンザ等に関する情報を収集する部門を設置し、情報の一元化を図る。

 (2) 情報の周知

  • 収集した情報は、速やかに感染対策チームの感染認定看護師等が院内LANの掲示版等で共有し、職員に通知するとともに、何らかの対策行動が必要な点については病院運営会議で共有し、各部門の責任者が職員に周知する。

 

第Ⅱ章 未発生期の対応
2-1新型インフルエンザ等発生時の診療体制確保の準備
(1) 優先診療業務の決定と流行への備え

  • 新型インフルエンザ等発生時を想定して、当院の優先業務の絞り込みと見直しを行い、業務効率化を図ることのできる診療業務を検討する。

(2) 診療に確保できる人員と対応能力の評価

  • 地域感染期においても出勤可能な職員数について各部門や病棟で検討する。
  • 新型インフルエンザ等発生時の優先診療業務方針(第Ⅱ章1(1))に基づき、可能な範囲で職員数の見積もりを行う。

(3) 入院可能病床数と人工呼吸器の稼働状況

  • 地域における当院の役割を鑑みて、当院で新型インフルエンザ等の入院診療継続に必要な病床数、人工呼吸器数などを見積もり、リストを作成する。
  • 当面、新型インフルエンザ等患者の入院に備えた入院可能病床数を、10床を目安にする。新型インフルエンザ等の患者の入院が必要な場合は、病棟を指定し新型インフルエンザ等患者用の病棟とし、5~10名程度受け入れることとする。

(4) その他の準備
①外来診療対応能力の確認

  • 患者からの電話に対応できる回線の数やファックス、外来診療に必要な資材(パーテーションや採痰ブース等)について地域感染期を想定して十分な数や機能が維持できるか検討しておく。

②検査部門

  • 新型インフルエンザ等発生時の各検査の需要について、必要数や優先度を作成する。
  • 検査キットの在庫数の確認、各流行時期に応じた必要な準備を行う。

③在宅診療部門

  • 在宅診療について連携できる病院・医院等と、地域における在宅診療を継続できる診療体制作りに努める。

④委託業者との連携

  • 病院に出入りする委託業者の把握及び複数の委託業者との連携方法について検討する。

2-2 感染対策の充実
(1) 感染対策マニュアルの整備

  • 通常時の院内感染対策の徹底と発生時における外来・入院診療等が効率的に運用できるように、既存の院内感染対策マニュアルを活用し、新型インフルエンザ等に対応できるよう整備する。

(2) 教育と訓練

  • 平時より、新型インフルエンザ等の発生時に何よりも守るべきは患者及び地域住民であることを認識し、患者の安全確保と職員の危機意識の向上に必要な研修を感染対策チーム(ICT))が中心となって企画し、定期的に実施する。
  • 平時より、診療継続計画に基づく訓練を実施し、その結果を持って見直しを行い、実践的な計画となるよう随時更新する。

(3) 特定接種への登録

  • 病院は特定接種の登録事業者として所定の手続きを行い、厚生労働省へ登録する。

 

2-3 在庫管理

  • 平時より実施している医薬品・診療材料等の在庫管理に加え、当院の医薬品・医療資材取り扱い業者と連携し、新型インフルエンザ等発生時の必須医薬品、感染対策用品のリストを作成し、年間 / 月間使用見込みや入手方法等を検討しておく。

 

 

第Ⅲ章 海外発生期以降の対応
3-1 対策本部
(1) 対策本部の設置

  • 当院は新型インフルエンザ等の海外発生期後、感染対策室に対策本部を設置する。

(2) 組織構成

  • 対策本部の本部長は病院長とし、構成員は、副院長、事務局長、看護部長、検査部門長、薬剤部門長、各診療科責任者、病棟・外来責任者、感染対策チーム(ICT)メンバー及び、必要と認める者とする。

(3) メンバーの招集

  • 対策本部メンバーの招集は院長とする。院長が事故・欠勤等により招集できない場合は、次の順に代理者が招集する。

                第1順位:副院長、第2順位:事務局長、第3順位:看護部長
(4) 業務・議題

  • 第一回対策本部会議の議題は以下とする

・組織体制の確認
・新型インフルエンザ等の疫学・流行情報と国、県、東濃保健所等からの指示確認
・患者(外来・入院)への対応方針(空間的分離策、診療体制チーム等)
・職員への対応方針
・医薬品及び医療機器等の必要な物品資機材の確認
・外部機関との連絡体制の確認 等

3-2 患者への対応
(1) 外来診療

[海外発生期から地域発生早期]
<新型インフルエンザ等が疑われる患者への対応>

  • 当院の全般的な診療体制については、当院のホームページ、掲示物やポスター等で地域住民に周知する。
  • 院内感染拡大防止のため、受診者の時間的・空間的分離対策について検討し、職員に周知するとともに、当院での受診の流れなど来院者向けにわかりやすく院内の入り口に掲示する。
  • 新型インフルエンザ等の疑い患者は必要により地域で帰国者・接触者外来を開設している病院を紹介することとする。
  • 新型インフルエンザ等に感染している可能性が高いと考えられる患者を診療した場合は東濃保健所に連絡し、対応について確認する。

 

<通常受診している患者への対応>
① 地域感染期を想定した準備

  • 平時より外来通院している患者について、振り分け方針を決定し、各科毎に受診の必要性をランク付けする。その際、各診療科で以下の疾患群別に目安をつけ、診療が継続できるような体制を確保する。
  • 慢性疾患患者をリストアップし、従来通りの頻度で診療すべき患者、地域感染期において受け入れ能力を調整する必要が生じた際に診療間隔を延期できる患者、に区分する。
  • 対策会議は流行状況に応じて長期処方を行う方針を決定し、外来担当医師に周知し、受診回数を減らす努力を開始する。

[地域感染期]
<全体方針>

  • 新型インフルエンザ等の患者の診療を行う。重症度が高い患者については、大学病院・県立多治見病院等に相談し対応方針を決めておく。
  • 外来人員を「新型インフルエンザ等診療担当チーム」「通常診療担当チーム」に分けて対応する。
  • チームの設置時期と構成員については対策本部が決定する。
  • 通常の院内感染対策に加え、予め検討されていた新型インフルエンザ等の患者とその他の患者とを可能な限り時間的・空間的に分離するなどの対策を確実に行う。

<通常受診している患者への対応>

  • 当院は、地域感染期にも、新型インフルエンザ等が疑われる患者以外の定期通院患者への医療提供を確保する。

 

(2) 入院診療
[海外発生期から地域発生早期]

  • 新型インフルエンザ等患者の入院時の種々の対応方法(食事、排泄、清掃、リネン、面会方針など)の詳細について、対策本部で検討し周知する。
  • 地域感染期で新型インフルエンザの入院患者が増加することを想定し、縮小できる診療業務について、対策本部で検討し、決定事項を院内に周知する。
  • 面会の制限について検討する。

[地域感染期]
<全体方針>

  • 入院対応人員を「新型インフルエンザ等診療担当チーム」「通常診療担当チーム」の2つに分けて対応する。
  • 「新型インフルエンザ等診療担当チーム」は事前の訓練を受けた者から構成する。
  • 「支援チーム」は①患者と直接、間接的に接する放射線技師・検査技師等、②患者と接触の可能性のある事務員、看護助手、清掃員等とし、新型インフルエンザ等の患者への診療支援や入院療養に関わる支援を行う。
  • チームの設置と構成員については対策本部が決定する。
  • 対策本部は、職員欠勤状況や地域での流行状況から、最小人数で運営できる病棟管理体制を検討する。
  • 新型インフルエンザ等の患者の入院に必要な医薬品、感染対策用品、医療器材を試算し、前室・病室での必要物品の準備、病室の必要物品、輸液ポンプ等のリストを感染対策チームの指示のもと準備する。
  • 面会は基本的に制限する。

 [海外発生期から地域発生早期]

  • すべての段階において通常通りの診療を維持する。

[地域感染期]

  • 対策本部の指示に従う。

 [海外発生期から地域発生早期]
<新型インフルエンザ等の患者への対応>

  • 新型インフルエンザ等の疑い患者全数にPCR検査が必要とされることから、保健所と調整をはかり、検体容器及び輸送容器の準備、検体の採取、保健所への輸送などの体制を整える。
  • 新型インフルエンザ等の疑い患者がMRIやCT検査室を利用する際には、利用後の消毒の方法、担当者の個人防護具の選択、時間的空間的分離策を検討のうえ、利用方針を協議しておく。
  • 検査試薬などの在庫を定期的に確認し、必要最低限の保管数として、不要な在庫を持たない。

[地域感染期]

  • 対策本部の指示に従う。

 

3-3 職員への対応
(1) 職員体制の見直し
状況により検討する
 [海外発生期から地域発生早期]
① 職員連絡網、通勤経路の見直し

  • 海外発生期以降、職員連絡網、通勤経路などを見直す。

② 職員体制の見直し

  • 地域発生期以降の診療機能維持のため、職員の児の学校の臨時休校・要支援者発生時等の職員欠勤時対応について、現在の職員配置状況を検討する。
  • 地域発生早期以降、地域の流行状況や重症患者の割合に応じて検討される優先診療業務にしたがって、当院の職員体制を見直す。
  • 現在の人員で最大限の能力が発揮できるよう、緊急を要しない業務の延期を検討する。

[地域感染期]
① 職員出勤状況の確認
○  毎朝8時30分に職員の出勤状況を確認する。
各部署のミーティングで来週の予定、代替者の必要性、診療内容の変更を検討する。
②欠勤者増加の際の対応

  • 原則として欠勤率が増えたとしても、当院は対応可能な職員数で診療を継続する方針とする。しかし、対策本部において、優先業務が院内の職員のみでは対応できないと判断された場合は、地域医師会や関連大学からの派遣医師など応援依頼を検討する。

(2) 職員の感染対策
① 標準予防策、感染経路別予防策の徹底

  • 職員は手指衛生をはじめとして標準予防策を基本とした適切な感染予防対策を行い、感染予防には万全を期す。
  • 新型インフルエンザ等の感染経路に応じた飛沫感染対策、接触感染対策などの感染経路別予防策を徹底する。

② 個人防護具の準備と教育

  • 職員が新型インフルエンザ等の感染が疑われる患者と接触する場合には、職業感染予防のためその診療・処置状況に合わせた個人防護具を選択し、適切に使用する。

③ 職員感染時の対応

  • 職員等が新型インフルエンザ等に感染したと疑われる場合は、速やかに所属長等に連絡することとする。本人が感染した場合は原則として病気休暇(有給休暇利用の対応)として取り扱う。家族等が感染した場合で本人への感染が強く疑われる場合は、院長の判断で職務に専念する義務の免除を行う。

3-4地域/通院患者への情報周知
(1)通院患者への情報周知
① 啓発・広報

  • 当院においては流行期に対応した啓発・広報活動を行う。特に、新型インフルエンザ等に罹患した際の療養方法、手指衛生、咳エチケット、感染対策用品(マスク、手袋)の使い方等、感染拡大防止のために個人や家庭ができることについて、通院患者に周知する。

3-5 総務機能の維持
(1)事務部門(総務機能)

  • 各種物品の調達や医療機器の整備・修繕、一般電話対応等、診療業務を継続する上で必要な業務を優先的に行う。
  • 臨時職員、業務委託会社の職員も含めた全職員及びその家族の健康状況等を把握するとともに、予防接種等、職員の業務継続に必要なことを優先的に実施する。

(2)委託業者との連携

  • 医事、給食、警備、清掃、物品管理、リネンなど委託している業務について、診療継続計画に基づき当該業務委託業者と打ち合わせを行う。


第Ⅳ章 地域における連携体制
4-1 地域の連絡会議に参加

  • 都道府県の新型インフルエンザ等に関する行動計画及び東濃地域の地域医療体制に関する対策会議において当院の役割を確認し、地域の保健所、病病連携病院、転院可能な長期療養施設などと協力して地域医療に貢献する。そのため、未発生期、海外発生期以降においても必要な地域連携を行う。

4-2 病診連携等

  • 地域発生早期には、新型インフルエンザ等疑い患者については保健所の報告のうえ、指示を仰ぐ。
  • 地域感染期には、軽症者の診察を積極的に受け入れるが、重症患者や入院が必要な患者紹介の方法、病床の空き状況、受け入れ状況を感染症基幹病院・保健所と確認する。

 4-3その他

  • 本診療継続計画の一覧表を作成し活用する。発生段階に応じた診療継続計画が現状でよいか、適宜見直す。

以上

策定 平成26年 2月24日


 

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